空につながるための家

設計を誰に頼もう? その3

本や雑誌を読み漁るうちに次第にふるいにかけられたように何人かの建築家の名前だけが心に残るようになりました。
その中のKさんという建築家は、御自身小さな家に住み、そこで事務所を構えて、何十年も市井の人のためのまっとうな家、普通の家を作り続けていらっしゃいます。
本に載っていた何ページにもわたる自宅の紹介写真を何度も何度も見ました。
広大なリビングも中庭も外国製のシステムキッチンも大理石の床も...豪華なものはなにもないけれど、とても居心地よさそうで、気取っていないところ、デザインに生活をあわせて無理して暮らすところが全くないのが気に入りました。ただ居心地がよいところでダラダラと過ごすばかりではなく、その家には品というかある種の緊張感もあり、ぴしっと背筋を伸ばして、生き生きと暮らせそうです。
時間が経って古くなればなるほど、それが惨めな汚さでなく温かみや味になるところも、ずっとそんな家に住んで、家と一緒に歳を重ねてゆくのは楽しいだろうな、と思わせました。
スイッチひとつで快適に暮らせるけれど、どういう仕組みになっているのかわからない、という所謂ブラックボックスの家でなく、自分で換気をしたり、ペンキを塗りなおしたりと、自分達の生活の場はある程度理解して、自分で手入れできるところは自分でしながら生活できそうなところも気に入りました。

でもいくつもの本に取り上げられている有名なセンセイが、コネもカネもなく、映画監督でも医者でもない普通のサラリーマン家庭の私達の家を本当に作ってくれるものだろうか。半ば疑わしく思いながらも、メールで問い合わせてみました。
早速翌日に、予算や家族構成を問い合わせる返事がきたときはうれしかったです。
翌週宅急便で箱いっぱいのその先生や設計事務所の手がけた家を紹介する書籍や雑誌が届きました。中には80年代の雑誌もあり、家がちっとも古ぼけてみえないのに、家電だけは時代を感じさせて見えたのがおもしろかったです。やっぱりここに頼もう!と思いました。
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