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空につながるための家

イメージの力展@国立新美術館

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終始やられっぱなしだった。

まずチケットを購入して入り口で最初の挨拶文を読んで、会場内に入ろうとくるりと後ろを向いた途端、どーんとパプアニューギニアの神像つきイス3体が鎮座ましましてる。
げっ、これにずっと後ろ姿を見られていたかと思うと、衝撃。
うわ…しかし、見れば見るほどすごいな、これ。貝が埋め込まれてるのか。横顔も…すごいな。
ああ、驚かされた、と展示室に入った途端、またどーんと、いきなり広々とした展示室の壁一面に仮面、仮面…
どれも、元々が美術品でないので(民博の所蔵品)、作品としての整合性というか、作家としての美意識というか、そんな枠を軽々と越えて、はみ出しまくり、過剰に盛りまくり、造形もすさまじいうえに、それぞれに使われていた日々が妙な感じを増幅させ、すごいことになってしまっている。
変なものと変なものが隣り合うと、妙な化学変化をおこして、さらに変になってゆくし。
それぞれが元々持っている出自(どこの国でいつ制作されたかとか、どのように使われたかとか)をとっぱらって、目の前に見えるものだけ次々提示され、わ!びっくりした、ひゃ!怖い、と心が反応してゆくの、これを企画したキュレーターの人に、ニヤニヤしながら「変でしょ?」「おもしろいでしょ?」と、言われてるみたい。
おもしろいんだけど、ものすごく消耗してゆく。宗教に関係したものが多いせいか、なにやらすごく力がこもっていて怖いもので溢れているから(また、それを恐いもの見たさで、凝視してしまうし)。
時代や場所が全く違うものが、双子のようにそっくりだったり。
これ、民博の所蔵品なんて絶対嘘でしょ、永井豪とダイナミックプロが企画したキャラでしょう。あれは円谷プロの倉庫から持って来たものでしょう?
ほれ、それにあのアボリジニの樹皮画、モダンな部屋に飾る用に狙って描いた今時の抽象画でしょう。
見てはいけないものを見ている(その共同体の外の人間だから)居心地の悪さとドキドキ感、自由でそれ自体生きている感じ、執拗な感じ、直接的ではっと心を打つ美しさ...ものすごく疲れる展覧会だ。
後半の”イメージの翻訳”がまたおもしろい。どんどん取り入れて、少しずつ、あるいは全然違うものにして、どんどん繁殖している。
白人の仮面、ユニオンジャックが”強さ”として図像に組み込まれ、コカコーラや日本のキリンビール缶が玩具になってゆく。アフリカの床屋の看板もおもしろかったなあ。
作者名もわからないこれら作品を喜々として作った人のわくわくするような息づかいに、こちらもわくわくが伝染してくる(手芸好きとしては刺繍や毛糸の作品が特に!)。
エピローグの”見いだされたイメージ”では、新美も悪ふざけがすぎるのでは、というくらい。
漁網や熊手をそれらしく展示し、これって現代美術でしょう?って。
うん、お隣六本木でやってるウォーホールに比べて、きっと来場者数はかなり少ないだろうけど、私、ウォーホールにいっぺん行くなら、イメージの力をあと10回見に行きたいと思う。

ものすごく疲れたけど、ものすごく楽しかった。
楽しい気分のまま図録買いに地下に降りて、ひゃーひゃー買い込んでしまった。
やられっぱなし。。


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