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空につながるための家

ビニルエステルにへこむ

「設備だらけの家は家じゃない。宇宙船だ」
「消耗品である水周りにお金をかけるのは勿体ない」
「どんなに高価なシステムキッチンでも出てくる料理のうまさ不味さに変わりはない」

酔いどれ先生が生前おっしゃっていたことだ。

そういうスタイルの設計事務所だから、特に私達からは、このメーカーのこの型番のこれをぜひ、などというリクエストは一切していない。
(もともとそんな贅沢が言えるお金はないし...)
でも、オーブンと食洗機、それに足が伸ばせるくらいの大きさのお風呂がほしいこと、コンロはIHでなくガスで、ということはお願いした。

工務店からの見積もりを片手に、ネットで設備の型番検索をしては、ふうん、こんなのが入るのか、と感心したりして、妄想の中の図面新居がまた具体的になってゆく。

で、浴槽、一番安い20万円台のやつだ。
「ビニルエステル系人工大理石」、ううう、へこむ。
150万円の丸いお風呂とはいわない、せめてひんやり滑らかな「いものホーロー」あたりにならなかったのかな...ああ、それでも50万円か、ムリだ(泣)。

オーブンは、パン生地発酵の37℃とか、メレンゲの90℃とかに対応してるんだろうか。天板二枚一緒にバターロールを焼けるんだろうか。
コンロは水なし両面グリルとかハイカロリーバーナーとかついてないんだろうな。
エアコンも自分でフィルター掃除してくれるようなものじゃないんだろうな。

いや、わかっているのだ。
設備は最低ラインに抑えながらも、結果的にはいい感じになるに違いないということが。
ひとつ贅沢を言えば数十万単位でお金が出てゆくということが。
日々の生活に価値や幸せを見出すのは設備でなく自身にかかっているということが。

ビニルエステル、ううう、響きが...検索などかけなければ、ハイテンションのまま新生活に突入していただろうに。
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