空につながるための家

トリー闘病3 〜普通の毎日〜

最近は仕事の量を減らしていたものの、準備したり、雑務や行事があったり、負荷が大きかった(でも、どれも達成感があって楽しかった)。

この秋~冬は一緒にシングルベッドで寝ていて、お互い無理はあったものの、かなりすごく暖かくて具合よくて、夏布団のまま春を迎えてしまうほどだった。

私はめまいに悩まされていて、起床時間の1時間位前から、徐々に頭を起こして、そーっと起きるということをしていたから、トリーにも付き合ってもらってた。
トリー「もう起きようよー。ご飯食べようよー」
私「まだよ、まだまだ。ねんねだよ」

いよいよ私がベッドから起き上がると、わーい、わーい、おはようってはしゃいでたね。朝からテンション高くていつもご機嫌だったね。
庭かケージ内のトイレでおしっこさせて、フードをちょびっと(夫が独身時代カップラーメンを作るのに愛用してた計量カップに山盛2杯が1日の量だったけど、お腹に負担をかけないよう、それを何回にも少量に分けて与えていた)。
高い棚の上に置いたフードの袋を取るために、椅子に乗るのを見るや、喜びのあまりぐるぐるリビングを走り回ったね。
ステンレスの餌入れに、カラカラカラ~って、フードを投入する音を聞くと喜びも頂点、大変だー、一大事だーって真剣な顔で、バリケンに駆け込んだね。
1日に何度もそんな幸せの絶頂に立ち会えて、私も楽しかったよ。
ゴミ出ししたり、表を掃いたり、洗濯物を干したり、私が動く度に一緒について回って、しおらしい顔をしたり、反省してみせたり、ぱっと明るい顔をしたり...賑やかでせわしなくて、いつもおもしろかったよ。

仕事がある日は、近所の公園まで短めのトイレ散歩、帰ってまたご飯、その後、11時前から夜までずっとお留守番だった。スーツケースや板で作ったバリケードを越えて、私のベッドルームに入り込んで寝てたね。

仕事がうまくいかなくて落ち込むこともあったけど、自宅の駐車場に車を入れて、エンジンを切ると、玄関の扉の向こうからピーピー甘え鳴きする声が聞こえてきて、どんな疲れも悩みも吹き飛んだよ。あのピーピー声があんまりかわいらしくて、しばらく車内で聞きほれてたこともあった。
玄関をあけると、靴をくわえて2階に駆け上がっていったね。ダメッ!と阻止すると、洗面所に走って行って、足拭きマットをくわえて駆けていったね。
私が着替えていると様子を見にきて、バッグに顔を突っ込んで怒られてまた2階に駆け上がって。

私が自宅でイライラ仕事の準備をしていると、あんなにべったり甘えん坊なのに、ふっと思い立ったように階下に降りていったね。
ピリピリしてる人と同じ部屋にいたくないよね。ごめんね。怒ってた訳じゃなかったんだよ。
それでも傍に来ておすわりをしてじっとこちらを見つめて、
トリー「あのー...何かお忘れじゃないですか?」
私「お散歩?ご飯?しょうがないなあ」

お散歩中もずっと仕事のことを考えたり、ぶつぶつとシミュレーションしたり、アイデアを振り絞ったり、上の空の人とお散歩しても楽しくなかったでしょう?それでも協力してくれてたね。

夫は帰宅後、りんごをひとつ食べるのがいつもの日課だった。
そのおこぼれをもらうのがトリーの夜の楽しみだった。
りんごの皮をむきはじめると、鼻を切り落としてしまうんじゃないかというくらい顔をまな板に近づけて、じーっと凝視していた。
厚めに切った皮をやると、ピラニアのように目をむいて食いついてきたね(お腹に悪いから少しだけ)。
芯を取って8等分にした1切れを細かく切り始めると、大変だー、一大事だーと躓きながらバリケンに飛び込んでいったね。

私がお風呂に入っている間も覗きに来たり、脱衣所のパンツやソックスを盗んだり、やりたい放題だったね。
一緒に寝る前、いつも勿体つけて、お前なんかあっちへ行きなさい、今日は私のベッドには入れてやらないよ、と言ったのは、ええーっ!??(悲)、もういっぺん頼んでみよう(希望)、本当にいいの?やったーっ!!(喜び)、気が変わらないうちに早い所布団に潜り込まなくちゃ(焦り)...くるくる変わる表情が面白かったからだよ。


仕事が休みやキャンセルになったときは、長いお散歩や車での遠出、ワクワクしたよね。
自宅から半径4km以内は、歩いていない道はないんじゃないかという位、歩き回っていたけど、なるべく知らないところに行こう、歩いていない道を歩こうって決めて、いろんなところに行ったね。
遠くにこんもり木が茂った神社や、瓦屋根のお寺らしきものが見えると、そこまで歩いて行ったっけ。この辺りの神社仏閣でお参りしていないところはないんじゃないだろうか。道道のお地蔵さんにも必ず、私とトリーの健康祈願していたから、バッチリだって思ってたんだけど。

川や森、お前の大好きなグランベリーモールは閉鎖されちゃうんだって。タイムスリップしたみたいな里山の風景、駅前の鯛焼き屋さん、ドッグカフェ、焼き鳥屋さん、寺家ふるさと村から三輪まで歩いたこともあったね。芹が谷公園、薬師池公園、小野路...
湘南はよく通ったね。観音崎、秋谷、江ノ島、七里ガ浜から長谷。夢見が崎の動物園に行ったときは興奮してたねえ。夕日の滝では堀北真希さんのご主人に会ったね。みなとみらいでは華麗なジャンプでソフトクリームを食べられちゃったね。

歩いていると、いろんな人に話しかけていただいたね。昔自分も犬を、ドーベルマンを飼っていたと懐かしそうにその子の名前や、どんな子だったか、教えてくれた人たちが特に心に残ってるよ。
心臓の病気のあと毎日歩いてた魚屋のおじさん、いつも自転車に乗ってた東北訛りのおじいさん、亡くなった愛犬が夢に出てから立ち直ったと言っていた女の人、みんな、幸せにしてるかなあ。

仕事のない長期休みの日、朝起きて、「どうする?海行く?山行く?川?どこでもトリーの好きなところに行こう」っていうときが最高だった。

本当に本当に、毎日幸せだった。

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