空につながるための家

トリー闘病2 〜お互い歳をとったよね〜

トリーはずっと小さい子供みたいでいてくれたけれど、1年くらい前から、おじいさんになったなあという場面が増えてきた(脳腫瘍がさせていたことなんだろうか)。

3年ぐらい前だろうか、時折腰が痛むようになって、ドッグランなどで激しく走らせることは控えていたのだが、ジャンプの掛け声で、高いところに飛び乗ったり、障害物を飛び越えたりするのは大好きだった。
目を合わせて、にやっと楽しそうな雰囲気を出すだけで、「ジャンプ?ジャンプ!ジャンプしたいよー」と、のってきたし、散歩中もっと遠くまで行きたいのに私が帰ろうとして、固まって拒否しているときも、片脚を上げて「ジャンプ!」って言うと、騙されて、ジャンプして、そのあと自宅まで歩いたものだった。
よく保育所の赤ちゃんたちが公園で遊んでいる前を、おすわりさせてジャンプさせて、拍手喝采をあびたっけね。保育士さんに、ありがとうございます、なんてお礼を言われて。

あんなにジャンプが好きだったのに、今日はいいです、ってのってこないときがあったね。

おでかけのとき、喜び勇んで車に乗っていたのに、おやつを見せてもじっと立ち止まって、事情があるんですというように考え深そうにしていて、よっこいしょと下半身を持ち上げて介助すると車に乗り込んだね。
夜、私のベッドに潜り込むときも、おふとんに入っていいよって許可すると、喜び勇んで、私の気が変わらないうちに早くしなくちゃって焦ってベッドの上に飛び乗ったものだけど、じいっとしばらく考えたり、飛び乗ろうとしてこけちゃうことがあったね。

口の周りにも白髪が増えて、若犬の印だった前脚の黒い斑点もなくなって、トーリーじいちゃんなんだね、って思ってたよ。3歳位からかな、落ち着いてきて「えらいね、もうお兄ちゃんだね」ってよく言ってたけど、もう、お兄ちゃんじゃなくて、おじいちゃんなんだなって思ってた。

私もね、おばあちゃんになったよ。
今ホルモン療法をしていて、そのせいかもしれないけど、脳の認知機能がものすごく衰えていて、言葉や数字を記憶したり、文章を読んで一度で内容を理解したり、電車を乗り換えたり、そういうことが難しいお年寄りの気持ちがやっとわかったよ。
めまいとか睡眠障害とか、あと、右腋のリンパをとってから、右側で重いものを持てないとか、傷つけちゃいけないとか、いろいろあってね、無理しすぎないように加減しながら、だましだましそーっと、人様に迷惑かけないように時間をかけてチェックして、生きていこうって思ってた。
おばあちゃんでいることに全然不満はなかったよ。
同じ病気だった友達は、もう一度働くのが夢だって言って亡くなったから、なんでも食べられてどこへでも行けて働けて、こんな幸せなことはないって。

いつかしよう、じゃなくて、なるべくしたいことは叶えて、でも、欲張りすぎないで、無理しないで、って思ってた。
結果的に、トリーにしわ寄せがくることが多かったね。誰よりも自分に近い「身内」だから、しわ寄せしたり後回しにしたり、我慢させてしまったね。一番大事だったのに。
おじいちゃんとおばあちゃん、頼りないペアだったね。ごめんね。


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